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[STORY 4] THE BIRTH OF GRINDS
なぜグラインドは生まれたのか?

ツアーグラインドソールの原点になった、初代ボーケイウェッジの「260・04」(左)と、トレーリングエッジを大きくグラインドした「VOKEY 60T」プロトタイプ(右)。

ボーケイ・デザインSM9ウェッジには、7種類ものグラインドバリエーションが用意されています。そして注目していただきたいのは、全てのロフトモデルに7種のグラインドがあるわけではないということです。以下のラインアップを見ると、グラインドオプションがあるのは、54°と56°のサンドウェッジと、58°と60°のロブウェッジであることが分かります。


グラインドオプションがFのみとなるロフト46°~52°との違いは、サンドウェッジとロブウェッジがグリーン周りからのショートアプローチに使用されるという点にあります。異なるライから、キャリーとバックスピンをコントロールしてカップ付近に止めていく、その弾道コントロールの仕方にプレーヤー毎の違いがあるのです。

「ライを見極め、ヘッドをボールの下にどうやって入れていこうかと考えるのはプレーヤーの仕事。それがアプローチスタイルの多様性を生んでいます。そして、ヘッドが地面にコンタクトしてからはウェッジの仕事になります。ヘッドが潜り過ぎず、潜らなさ過ぎずに正しく進み、ボールをしっかりとフェース面でコンタクトする。必要なバウンス効果を得るために、プレーヤーに適したグラインドを用意しておくことが必要なのです」(ボブ・ボーケイ)

つまり、ウェッジのグラインドは、バウンスを味方に付けコントロールショットを成功させるために生み出された選択肢なのです。ボブ・ボーケイはツアーに帯同しながら、様々なプレーヤーのプレースタイルに対応したグラインドパターンを確立していったのです。

ヘッドを正しい進行方向に導く、バウンス効果とグラインドの役割

シャフトを垂直にセットした時に生まれるソールの出っ張りをバウンスと呼びます。ボーケイ・デザインウェッジは接地時に地面の抵抗となるバウンスの量をプレースタイルやライに合わせて調整することで、アプローチを成功へと導きます。

バウンスは角度ではなく、効果の大きさで判断する

ボブ・ボーケイは、ソールの出っ張りのことを“バウンス”と呼んでいます。リーティングエッジとトレーリングエッジを水平に結び、そのラインから地面方向に出ている部分全てを“バウンス”と定義しているのです。トレーリングエッジ側を高くし、バウンス角を大きくすれば出っ張り部分が大きくなるため、ソールが地面に接地した時の抵抗が大きくなります。これが、「バウンス効果が高い状態」となります。

「シャフトが短く、ライ角度がアップライトなウェッジでは、ダウンスイングからインパクトに向かって鋭角なスイング軌道(ダウンブロー)でヘッドが入ってきます。地面に対して潜っていこうとするヘッドに対し、トレーリングエッジを当てる(抵抗とする)ことで、ヘッドの進む方向を下ではなく前(振り抜き)方向へと変える。それがウェッジのバウンス効果です。バウンス効果はソールの角度だけでなく、幅によっても調整できます」(ボブ・ボーケイ)

ボーケイ・デザインウェッジの基本的なソール形状には、高いバウンス効果を発揮する「フルソール」(FグラインドとKグラインド)があります。Kグラインドはワイドソールになっていることで、抵抗となる面積が大きいため特に高いバウンス効果を発揮します。

高いバウンス効果を持つフルソールのトレーリングエッジ側を研磨(グラインド)し、細分化したのが、Sグラインドや、「三日月型ソール」のD、M、L、Tグラインドになります。もともとあったソールの出っ張り(抵抗)を削ってしまうわけですから、そのまま使えば、単にフルソールよりもバウンス効果の低いウェッジとなります。ところが、バウンス効果の低いウェッジをそのまま使っているプレーヤーはほとんどいないと、ボブ・ボーケイは言います。

「ぜひ知っていただきたいのは、全てのゴルファーがバウンスの恩恵を受けながらプレーしているという事実です。バウンス角が小さい方がいいというプレーヤーはいますが、そうしたプレーヤーほど、むずかしいライではアドレスでフェースを大きく開いて、バウンス効果を増やしています。この場合、フェースを開かない代わりに、ハイバウンスと言われるウェッジを使っているゴルファーよりも、実効バウンスが大きいこともあるのです」(ボブ・ボーケイ)

フェースを開いて自分でバウンス効果を調整(増やす)ため、「スクエアフェースでのバウンス角は抑え目でいい」というのが、ソールのグラインドオプションが増えたきっかけです。ラウンド中にバウンスを減らすことは困難ですが、増やすことは可能です。ツアープレーヤーはその方法を熟知しているのです。

スクエアの状態(写真左)からフェースを開く(写真右)と、トレーリングエッジが迫り出し、バウンス(地面抵抗)が増大します。

バウンス効果をアップさせるフェースの開き方はどれ?

フェースを開いて構えるのは、ボールを高く上げるためではなく、バウンス効果を増やして地面にヘッドが潜らないようにするためです。アドレスでウェッジのヘッドを回転させ、フェース面を上に向けるとトレーリングエッジ(ソールの後方)の出っ張りが増えます。この出し方で地面抵抗をコントロールしているのです。

中央の写真のようにヘッドを回転させると、トレーリングエッジが下方に迫り出すためコース上ではこの出っ張り(バウンス)が抵抗になってヘッドの潜り過ぎを抑えます。これが、フェースを開いた構え方です。
右写真はオープンスタンスです。この状態ではフェース自体はスクエアの構えのため、バウンスは増えません。

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