「ボーケイ・デザイン ウェッジをもっと知る」#18
ボブ・ボーケイが教える“使えるウェッジの組み合わせ”とは?
ヘッドの潜り具合を調整し、正しくフェースにボールを乗せる。
それがウェッジのバウンスとグラインドの役割
ボブ・ボーケイは「ライコンディションの見極めと、そこからどういうショットを打とうとするかが、ウェッジショットの成功に大きく関わる」と言っています。ボールがラフにあるのか、フェアウェイなのかだけではなく、
- 地面が硬いのか、軟らかいのか。
- 芝は長いのか短いのか。
- 芝質は粘り気があるのか。
- バンカーの場合、砂は軟らかいのか。
- 砂の表面は硬いのか。中は湿っているか。
などなど、見極めるべきポイントがたくさんあるのです。
「これらのライコンディション毎に、打ちやすいソールのグラインドやバウンスがあるというのがボブの持論です。ライコンディションによっては、どうにも打ちにくい場面があると思いますが、そんな状況でこそグラインドやバウンスが役に立つ。だからこそ、きちんとプレースタイルやプレー環境に合わせた仕様のウェッジを選んで欲しい!といっているのです」(ボーケイデザインウェッジ 専任フィッター/三瓶大輔)
では、どのような考え方でライコンディションに即したウェッジを選ぶべきなのでしょうか? それには、まずバウンスとライコンディションの関係性を理解する必要があると三瓶は言います。
「バウンスは、地面に対してヘッドを潜りにくくするための“抵抗”です。例えば、ふかふかの軟コンディションになればなるほど、クラブヘッドは潜りやすくなるので、バウンスが大きいウェッジの方が、抜けが良く打ちやすい!ということになります。逆に地面の硬い場合では、地面側に大きな“抵抗”があると考えますので、ウェッジのバウンスが小さくても地面に刺さりにくく、ボールが拾いやすいという考え方となります。単純ではありますが、ここがとても重要なポイントです」(三瓶)
ライコンディションを細かくチェックしないために、結果的にミスになりやすいショットを選択しているアマチュアゴルファーが非常に多いと言います。硬いコンディションなのにフェースを開いてバウンスを使おうとしたり、深く潜りそうなコンディションなのに上から打ち込んだりしてしまうことも珍しくないのです。ボブ・ボーケイはウェッジフィッティングの心得として、スタッフに次のように言っています。
「ライコンディションを見極め、ヘッドをボールの下にどうやって入れて行こうかと考えるのはプレーヤーの仕事。でも、ヘッドが地面にコンタクトしてからはウェッジの仕事になる。ヘッドが潜り過ぎず、潜らなさ過ぎず、ヘッドが正しく進み、ボールをしっかりとフェース面でコンタクトする。そのためにバウンスとグラインドが必要となるのです。フィッターとなる者は、プレーヤーのスタイルやミスの症状などを聞き、正しいバウンスとグラインドを提案する、それが仕事です」(ボーケイ)
コースコンディションによってウェッジを変える!?
変わりつつあるツアープレーヤーのアプローチ観
もちろん、一本のウェッジでフェースを開いたり、軌道を変えたりしてテクニックで様々なライコンディションに対応することも可能です。しかし、現在はPGAツアーでもこうした難易度の高いアプローチスタイル(テクニック)を駆使するプレーヤーは減ってきた、とボブ・ボーケイは言います。
「例えば、契約プレーヤーのジャスティン・トーマスは、ハイバウンスのKグラインドとローバウンスのTグラインドを練習ラウンドではバッグに入れていて、コースコンディションによって、どちらかを選択して本戦に臨みます。PGAツアーでは、ジャスティンに限らず、練習ラウンド時にコースコンディション、特に地面の硬さ、ラフ、フェアウェイの芝質、バンカーの砂質のチェックに時間をかけるプレーヤーが増えています。テクニックがあり、練習量の豊富なトップアスリートでさえ、ウェッジを替えることで環境に対応した方がより良い結果を生むことに気づき出したのです」(ボーケイ)
JUSTIN THOMAS / ジャスティン・トーマス(米国)のセッティング
- Ball: Pro V1x
- Driver: TS3 (9.5°)
- Fairway: TS3 915Fd (18.0°)
- Irons: T100 (#4) 620MB(#5-#9)
- Wedges: Vokey Design SM7 (46°、52°) SM8 (57°、60°)
- Putter: Scotty Cameron Timeless prototype
- SM8ウェッジの57°はFグラインドを使用。60°をハイバウンスのKグラインドとローバウンスのTグラインドの2種類を用意し、コースのライコンディションを見極めてバッグに入れています。
我々、アマチュアゴルファーはどうでしょうか? もちろん、プロのようにコースによって異なるウェッジを使い分けることも良い方法ですが、そもそも我々は練習ラウンドなどでコンディションを事前に知ることができません。いきなり初めて回るコースも多い中で、環境に即したウェッジを!と言われてもなかなか実践できるイメージが湧いてこないのも事実です。そこでボブ・ボーケイはこんな提案をしています。
「サンドウェッジとロブウェッジを入れ、そのどちらかをハイバウンス、どちらかをローバウンスにしておけば良いと思います。例えば、バンカー脱出を念頭においたサンドウェッジは、砂がサラサラのコンディションを想定し、ハイバウンスにしておきます。一方、ロブウェッジは、硬いコンディションを想定してローバウンスにしておくのです。こうすることによって、コースによって地面の硬さが変わっても、どちらかのウェッジでしっかり対応することが可能となるのです」(ボーケイ)
1本のウェッジ(サンドやロブ)のみでいろいろなライコンディションに対応するよりも、ライコンディションの見極めとそれに対応したソールのウェッジを揃え、使い分けた方が失敗の少ない結果となりやすいということがお分かりいただけたでしょうか。ボブ・ボーケイが複数のウェッジをコンビネーションすることを推奨しているのは、様々な状況への対応力をアップさせ、さらなるスコアアップにつなげることができるからなのです。
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